6.67インチのL型AMOLEDディスプレイを搭載したオールインワン簡易水冷CPUクーラー、TRYX「PANORAMA 240」をレビューします。
L字に湾曲した有機ELディスプレイは、ディスプレイ付きAIOの中でも存在感がバツグンでPCの雰囲気を一気に変えてくれます。見た目の派手さだけではなく、しっかりとした冷却性能に加えてVRMファンまで載せて実用面も盛ってきたあたりに、ハイエンドらしさを感じました。
提供:CFD販売株式会社、TRYX
外観をチェック

パッケージはこんな感じ。
ラインナップとしては、カラーはブラックとホワイトの2色を用意。ラジエーターは240mm/280mm/360mmの3サイズから選べるほか、ファンはRGBありとRGBなしの2パターンが用意されています。
今回は240mmラジエーターのブラックモデル、ファンはRGBなしです。

こちらがPanorama 240本体。はじめから2基のファンが取り付けられているため、そのままPCに組み込むことができます。

ウォーターブロックは本体とカバーから構成されていて、カバー部分にL字の湾曲AMOLEDディスプレイが搭載されています。

本体とカバーはマグネットで固定されているのでツールフリーで着脱が可能。

ディスプレイサイズは6.67インチ、解像度は2,240×1,080ドット、リフレッシュレート60Hz、コントラスト比1,000,000:1という仕様のなかなかハイスペックなディスプレイです。

ディスプレイの反対側は、本体に実装されているファンの風がVRM側に抜けるように通気口になっています。

カバー裏側には基盤が実装されていて、クアッドコアCPU、2GBメモリ、8GB ROMを搭載。PCのリソースに負担をかけずにディスプレイの制御が可能です。

本体部分。ウォーターブロックの上にマザーボードのVRMヒートシンクを冷やすための小型ファンが実装されています。
なお、ポンプユニットはAsetekのEMMA Gen8を採用。
製品ページにはAsetekのEMMA Gen8 V2と記載されていましたが、レビュー個体はEMMA Gen8でした。ロットや地域、出荷時期で同梱構成が変わる可能性もあるため、ここではレビュー個体で確認できた内容として記載します。

CPUとの接触面。大型の銅製ベースプレートでしっかり冷却してくれそう。
レビュー個体は製品ページとブラケットの仕様が異なっていました。ロットや地域、出荷時期で同梱構成が変わる可能性もあるため、ここではレビュー個体で確認できた内容として記載します。

ラジエーターには名前の通り240mmラジエーターを採用しています。厚みが30mmあって、一般的な製品のラジエーターより3mm厚くなっています。

ラジエーターにはROTA PROというファンが2基搭載されていました。
製品ページには接点によるデイジーチェーン接続に対応する「POTA SL PRO」と記載されていましたが、こちらの「POTA PRO」は、連結は従来通りケーブル接続の方式です。
ロットや地域、出荷時期で同梱構成が変わる可能性もあるため、ここではレビュー個体で確認できた内容として記載します。

9枚のブレードは液晶ポリマーを配合した頑丈なものになっています。

POTA PROの主な仕様は以下の通り
| 回転数 | 500~2,250RPM±10% |
|---|---|
| 最大風量 | 81.32CFM |
| 最大静圧 | 3.66mmAq |
| 最大騒音値 | 30.97dBA |
付属品をチェック
本体以外の付属品をチェックします。








組み込み
実際に組み込んでみます。今回は、Socket AM5環境に搭載していきます。
使用したパーツは以下の通り。
| CPU | AMD Ryzen 7 9700X |
|---|---|
| マザーボード | ASUS TUF GAMING B650M-E WIFI |
| メモリ | Corsair VENGENCE DDR5 16GB×2 |
| SSD | TLET SSD 1TB PCle Gen4x4 |
| グラボ | ASUS Dual GeForce RTX 4060 Ti |
| 電源 | CPS YS850 |
| ケース | JONSBO TK-1 |

マザーボードに搭載されているブラケットを取り外して、AMD用ブラケットを装着します。

ウォーターブロックをネジで固定してきます。対角線でバランスよくネジを締めましょう。

ディスプレイカバーを装着。
メモリとのクリアランスも十分確保されているので、大きめヒートシンクを搭載したメモリでも干渉は問題なさそうです。


マニュアルに従ってウォーターブロック、冷却ファン、ディスプレイのケーブルを配線すれば完了です

今流行りのピラーレス、それも湾曲ガラスを採用したJONSBO TK-1とPANORAMA 240の相性は非常にいいですね。
湾曲ガラスの向こう側に湾曲ディスプレイが見えて奥行きを感じるというかなんというか。

目玉のL型ディスプレイ、存在感が抜群です。
ディスプレイは非光沢タイプで映り込みがあんまりなりのがグッドですね。とはいえ、メモリとの距離が近いのでメモリはRGBじゃないほうが良さそうだなと思いました。

高コントラストなAMOLEDを採用しているので発色がいいですし、2,240×1,080ドットと高解像度なので文字を近くで見たりしてもジャギーがありません。
ソフトウェア
PANORAMAシリーズ向けに提供されている統合ユーティリティ「KANALI」では、ディスプレイの表示内容だけでなく、搭載しているファンの回転数などを制御できます。

KANALIの起動画面。「PANORAMA」から、ディスプレイを制御できます

そのまま下にスクロールすると、CPU使用率や温度といったシステム情報を確認できます。

PCのスペックも確認可能。

ディスプレイの表示パターンはあらかじめ14種類のプリセットが用意されています。

プリセット以外にも、自分で動画や画像を用意して表示させることも可能です。表示は2:1の画像・動画を1枚表示するだけでなく、1:1の画像・動画を並べて表示されることもできます。

サブメニューからディスプレイ輝度やVRMファンの速度を変更可能。

VRMファン速度はLow・Mid・High・Fullの4つのパターンから選べます。フルスピードにするとそこそこうるさいです。

システム情報を3つまで表示することができます。表示内容や表示場所、フォントカラーも変更可能。また、CPU・GPUの名前を出すこともできます。
色々と表示内容を変えられておもしろいんですが、設定したものをユーザープリセットみたいな感じで保存したり、それを一定間隔で切り替えられたりするともっと遊びがいがあるな~とは感じました。
冷却性能・騒音をチェック
実際の冷却性能と駆動時の騒音を簡単にチェックしました。
CINEBENCH R23を10分間回したときのCPU温度「CPU (Tctl/Tdie)」の数値です。

最大温度は63.1℃でした。CPUがTDP 65WのRyzen 7 9700Xなのでだいぶ余裕がありますね。
騒音値は、ケースから15cmの位置に騒音計を置いて、アイドル時、フルロード時、VRMファンをフルスピードにしたときの3パターンで測定しました。
結果は以下の通り。
| アイドル時 | 33dB |
|---|---|
| CPU使用率100%時 | 36dB |
| VRMファンフルスピード時 | 42dB |
ケースに入れた状態だと、フルロード時でも音はほぼ気にならなかったですね。というか、ラジエーターの冷却ファンよりもVRMファンの方がうるさいので、音が気になる人はVRMファンの速度をLowかMidにしておくのがいいと思います。
見た目がいい!でも見た目だけじゃないAIO

TRYX PANORAMA 240、何と言っても6.67インチと大きな湾曲ディスプレイが目を引きます。インパクトがあるだけでなくAMOLEDを採用していることで色表現や発色もバッチリ。
様々なプリセット動画だけでなく自分の好きな動画を流すことができるので、デスクの雰囲気に合わせたり、好きなキャラクターを動かしたりと、色々な楽しみ方ができそうです。
見た目だけではなく、冷却性能もハイエンドらしくしっかりしていましたし、簡易水冷クーラーを使っていると気になる電源回路周りの冷却もVRMファンの搭載によって解消してくれています。
240mmラジのAIOで4.8万円というのは正直かなり攻めた価格だなって思いますが、その価格に見合った性能と付加価値があると感じます。
今までとは一味違ったPCを組みたいって人にとっては、選択肢としてありな製品だと思います。

